ゲームにまみれて、本にまみれて。

ゲームと本にまみれた、日常の話。

文章のすごさを味わえる三冊の小説

広告

文章のすごさを味わう読書体験

 

はじめて小説を読んだのは小学生の頃だったでしょうか。夏休みの読書感想文を書くために『ウォーターボーイズ』を読んだ、これがわたしの小説との出会いでした。それをきっかけに小説を読むことが好きになりました。

 

時は過ぎて数十年。大人になった今、ライターという仕事に就いてからは、以前にも増して小説を読むようになりました。多くの小説を読んで、面白い作品にもたくさん出会いました。ただ単に面白いと感じる作品ばかりじゃなくて、文章のすごさを感じられる小説もたくさんありました。

 

*****

 

ピアニストを目指す少女の周りでさまざまな事件が起きるミステリー小説『さよならドビュッシー』。

 

火災によって火傷を負い、手がうまく動かせなくなってもピアニストを目指して練習にはげむ少女の話なのだけど、ピアニストの話なので作中にはピアノを演奏する場面が多くでてきます。

 

ピアノの音っていう目に見えないものがうまく文章で表現されていて、ピアノの綺麗な音色が想像できるような文章で表現されているんですよね。それでいて、作者の中山七里さん自身は楽器を全く演奏できないそうで、それもまた驚きです。

 

*****

 

誉田哲也さんの作品の中でもわたしが好きな姫川シリーズの1作目『ストロベリーナイト』。

 

ドラマ化や映画化されたので、小説を読まない人にも人気のある作品だとは思うんだけど、わたしは『ストロベリーナイト』の原作は、決して万人にすすめられる作品ではないと思っています。というのも、作中のグロテスクな表現が異常に生々しい。

 

グロテスクな表現がある映画やゲームなどは問題なく見ることができるわたしでも、状況が簡単に想像できてしまうほどに文章でしっかりと表現されていて、読んでいて吐き気を催すほど。文章だけでここまでの気持ちになるとは思ってもいませんでした。

 

*****

 

綾辻行人さんの『Another』なんかは、文章でないと成立しない叙述トリックが使われている作品です。

 

叙述トリックっていうのは、たとえば「田中」という人物と、「太郎」という人物が登場したとして、読者は当然二人の人物だと思い込んじゃうけど、実際は「田中太郎」という一人の人物だった、みたいな読者に時系列や人物を勘違いさせる書き方。

 

文章だけでは、読者に想像させることはできても明確な映像は伝えられない。この文章の欠点を逆手にとったのが叙述トリックであり、文章でなければ実現できない手法といえます。

 

*****

 

いろいろおすすめしたい本はあるけれど、これら三冊は文章のすごさを味わいたいときに、ほんとうにおすすめの作品です。『ストロベリーナイト』はグロテスクなものに耐性がある人だけね。

 

機会があったらぜひ読んでみてください。

 

 

広告