捨て去ったものに責任を果たす
仕事に私生活、人生に不安や焦りを抱えてしまうのはよくあることです。わたしも時々、人生について不安にかられることがあります。そんな不安な気持ちに悩んだとき、読書が助けになることがあります。
『おやすみラフマニノフ』という小説があります。わたしの好きなミステリー小説『さよならドビュッシー』の続編。
自己啓発本とかではなく、まさかのミステリー小説です。でも、この作中でもとてもいい言葉がでてくるんです。
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『おやすみラフマニノフ』の舞台は音大。その音大で発生する事件を、前作と同様に岬洋介が解決するというストーリーです。舞台が音大だけに、この作品のメインの登場人物は音大の学生、しかも4回生で就職活動に悩む時期の学生たちです。
ただ少し変わっているのは、ふつうの大学生とは違って音楽に関連した就職先を探すことになるわけです。でもやっぱり、そこは狭き門で、諦めて一般企業に就職する学生も少なくはないそうです。今まで続けてきた音楽をあきらめるのか、なんとかして音楽を続ける道を探すのか。そういった学生たちの葛藤も描かれています。
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物語の中盤、そんな学生たちに向けた言葉として、こんな言葉が出てきます。
”そして大抵の人間は不器用で、何かを選択したらそれ以外のものを捨てなければならないようになっている。その捨て去ったものに責任を果たすためには選んだものを大事にするしかない”
人生は選択の繰り返しってよく聞きます。その中の一つを選んだら、それ以外のものは捨ててしまわなければならないこともある。でもその選択は間違えてなかったって胸を張って言うために、選んだものを大事にする。
人生を歩んでいく中で、選ぶ道に悩んだときに思い出したい言葉になりました。
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