とんでもないどんでん返しが待ってる
大学生のころ雑誌を読んでいると、記事の合間に広告が載っていました。その広告は『さよならドビュッシー』という小説の広告。そこに載った表紙と、ドビュッシーに別れを告げるタイトルになにかに惹かれたわたしは、すぐにこの本を買いに行きました。
中山七里さんが書く岬洋介シリーズの一作目で、以前にも、文章がすごい小説として紹介したことがあります。
そのときはピアノの演奏シーンをうまく文章で表現できているというところにスポットをあてたんだけど、今回はミステリーの部分にスポットをあてたい。
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あらすじは、ピアニストを目指す少女が火災に巻き込まれ、ピアノが弾ける状態ではないくらい全身に火傷を負ってしまうも、ピアニスト岬洋介の指導の元、ピアノコンクールの優勝を目指していく、というストーリー。
ただそれだけでなく、少女の周囲で不審なできごとが起こるようになり、果ては殺人事件まで発生してしまう。その事件の真相を岬洋介と少女が追うというミステリー作品でもあります。
この作品を読んで抱く感想は一つ、「ただただ、すごい」ということでした。
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作者の中山七里さんは『どんでん返しの帝王』と呼ばれているほど、どんでん返しに定評がある方。ラスト18ページで叩きつけられるどんでん返しを読んだときの衝撃は、いまでも忘れられません。
この展開の伏線はしっかりと序盤に張られていて、この伏線部分を読んだ記憶はあるのに見抜けなかったくやしさもありました。
18ページでジェットコースターのように猛スピードで真相が判明していく。そして終着点である最後の一行で、タイトル『さよならドビュッシー』の意味を知ることになる。
少女がかんばる感動のストーリーの皮をかぶった、とんでもないミステリー小説に出会ってしまったように思います。
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