2007年に生まれた名作
ニンテンドーDSが生まれて4年目の2007年。
一本の名作ゲームが生まれた。『ウィッシュルーム 天使の記憶』である。
パッケージにも書かれているとおり、ニンテンドーDSで楽しめるミステリーアドベンチャーだ。
元刑事で、今はセールスマンをしている主人公、カイル・ハイド。
刑事時代の同僚で、行方をくらましてしまったブラッドリーを、刑事を辞めた今でも探し続けていた。
セールスマンとしての仕事で訪れた『ホテル・ダスク』。
カイルが宿泊することになった部屋は、願いが叶うという噂のある部屋だった。
そして、泊まり合わせた客たちは、なにか秘密を抱えている。
この宿泊客たちと関わっていくなかで、ブラッドリーの手がかりの気配を感じ始める。
宿泊客たちは、それぞれどのような秘密を抱えているのか。
願いが叶う部屋の噂の真偽は。
ブラッドリーの失踪の真相は。
ホテルという限られた場所で繰り広げられるミステリー。
10章立てで、続きが気になるストーリーとなっており、ついつい続けて遊んでしまう。
ニンテンドーDSで発売された意義を感じる
ストーリーも素晴らしいが、『ウィッシュルーム 天使の記憶』には、もう一つの見どころがある。
それは、ニンテンドーDSで発売されたことと関係している。
ニンテンドーDSは、
折り畳み式であること
2画面であること
下画面がタッチパネルになっていること
が特徴である。
このゲームは、ニンテンドーDSの特徴をうまく活かしているのだ。
まず、このゲームで遊ぶ場合は、ニンテンドーDSの本体を縦に持って操作する。まるで本を持っているかのように遊ぶことができるのだ。
そして移動は、タッチパネルに表示されたマップのマークをスライドすることで移動していく。もう片方の画面には、一人称視点が表示される。
またストーリーの随所で謎解きがでてくるのだが、それらの謎を解くために、タッチ操作をする必要がある。
さらに、謎解きに関していうとタッチ操作ばかりでなく、ある場面では、ニンテンドーDSの本体を閉じることで解ける謎もある。
どのような操作が必要になるのかを考える楽しみも、このゲームの印象的な部分だ。
今プレイしても見劣りしない
最近のゲームは、グラフィックが非常に進歩している。
ニンテンドーDSは、CGでの表現が主流になってきた携帯ゲーム機であるが、ニンテンドー3DSなどに比べるとグラフィックの質は落ちる。
今遊ぶと、画面が見づらいと感じる作品も少なくはない。
しかし『ウィッシュルーム 天使の記憶』は、無理にCGを使っていない。
キャラクターは手書き風である。
CGを使っている部分は、一人称視点の画面や、謎解き画面だけ。人物をCGにしていないから、それほど荒さは目立たないように感じる。
ストーリー、操作性、グラフィック。
どれを取っても、今プレイしても楽しめる。
いまだにSNSなどで、『ウィッシュルーム 天使の記憶』について投稿している人を多く目にするが、長く愛される所以を実感した。