中学生のあの日から、心を掴んで離さないもの
中学生のころから、私の心をつかんで離さないものがある。
金閣寺だ。
それまで教科書では、幾度となく見てきた。
けれど、やはり実際に見ると、印象が大きく変わった。
中学生で、好んで神社や寺を見て回る人は、それほど多くないだろう。私もその一人だった。
しかし、修学旅行の行き先は、例に漏れず京都。
京都になんの魅力も感じていなかったし、もちろん神社や寺も興味はなかった。
金閣寺にしても、ただ金色の建物だろうと、その程度に考えていた。
まさか目の前にした瞬間に、心をひきつけられるなどと思いもしなかった。
私の心をひきつけたのは金閣寺だけでなく、京都の街並みもまた、私をひきつけたのだった。
10年ぶりに見た金閣寺
その日から、京都は私が好きな土地の一つとなった。
しかし、修学旅行から帰ってきて以降、京都を訪れる機会は一度もないまま、大人になってしまった。
いつかまた、京都の空気や金閣寺の輝きを肌で感じたい。
抱いてきた思いが、10年ごしに叶った。
ある年の誕生日に、誕生日プレゼントとして京都への旅行を用意してもらったのだ。
10年ぶりに歩く京都の町。
もちろん金閣寺にも足を運んだ。
あの日と変わらぬ輝きをたたえた姿がそこにあった。
好きな地が目標になってくれる
大人になっても変わらない感動。
むしろ、年を重ねたこともあってか、感動も大きくなっていたような気がする。
やっぱり私は京都が好きだ。
そう、改めて感じさせられた。
またいずれ訪れたいと思うし、頻繁に足を運べる環境を作れればとも思う。
それが実現できるように、日々を頑張ろうと思えるのだ。
こうやって、好きな地ができて、それが目標になってくれる。
そういう出会いも、旅の魅力で、旅をする意味でもあると思う。