春になると桜が咲く公園
春になると、色とりどりの花が咲く。
その中でも、私は桜が好きだ。
色、形、どこをとっても完璧な花だと思っている。
幼いころ犬に追いまわされ、盛大に怪我をしたことがある、自宅の近所の公園。
ここには、昔から桜の木が立っていた。
満開の時期には、空を覆いつくすほどの桜。
そして、桜が終わりを迎えると、散った花びらが地面をピンクで覆いつくす。
苦い思い出だけでなく、毎年の楽しみを作ってくれる公園でもあった。
ある日、見るも無残な姿に
さきほどから「桜の木が立っていた」だとか「公園でもあった」だとか、過去形で書いているが、実はその公園に桜の木が立っていたのは過去のことなのだ。
何年前になるだろうか。
ある日、その公園に作業車が停まっていた。
その日を境に、公園を彩っていた桜の木は枝をほとんど切り取られ、見るも無残な姿になった。
おそらく公園の快適さを保つために、害虫防止を目的に枝を切り落としたのだと思う。
たしかに、その公園は子どもたちが遊んでいることも多い。
そんな公園で害虫が発生したとあっては、今のご時世、問題に発展してしまう可能性もある。
枝が切り落とされてから初めての春を迎えた。
ところどころ残る枝から、少しばかり顔を覗かせているピンクの花を見て、なんともいたたまれない気持ちになった。
桜が失われる寂しさ
公園を危険な場所にしないための対応なのだろうから、それは仕方のないことかもしれないし、理解している。
ただ、昔から見ていた桜が失われるのは、なんとも寂しい気持ちになってしまうのだ。
この公園に限らず、害虫が発生するからという理由で切られている桜の木は多いのではないだろうか。
こうして、どんどんと毎年の楽しみが失われていくのだろうか。