現実に近い世界観が新しいRPG
シリーズ初、ニンテンドーDSでの作品となった『キングダムハーツ 358/2 Days』。
この『キングダムハーツ 358/2 Days』の構想を練るのに一役買った作品がある。
『すばらしきこのせかい』だ。
『すばらしきこのせかい』をプレイしたのは、実は中学生のころ。
もう記憶は薄れつつあるのだが、それでも強烈に記憶に残っている部分が多々ある。そんな斬新さが魅力のゲームだ。
舞台は渋谷。
人々が行き交う雑踏の中目覚めたネクは、とあるゲームに参加されられ、そのゲームで7日間生き残らなければ、存在した事実を抹消すると言い渡される。
そんな理不尽とも思えるゲームに挑む7日間が描かれた作品である。
アクションRPGであり、ノイズと呼ばれる敵と戦っていくのだが、世界観は現実に近くなっている。
たとえば、キャラクターの装備は盾や鎧などではなく、Tシャツや靴などを装備する。
武器も剣のようなものはなく、バッジを使ったサイキック能力で戦っていく。
またバッジには、それぞれにブランドがある。
バッジを使い続けていると、そのブランドがトレンドとなり、攻撃力上昇などの恩恵を受けられるのも、現実を取り入れたシステムだ。
ニンテンドーDSの、二画面とタッチ操作を最大限に活用しようと開発されただけあり、戦闘システムは非常に斬新なものになっている。
戦闘では、ニンテンドーDSの上下二画面を同時に操作する。
下画面では主人公のネクをタッチで操作。
上画面ではパートナーをボタンで操作。
二画面に表示されたキャラクターを同時に操作するゲームというのは、後にも先にも『すばらしきこのせかい』だけなのではないだろうか。
ちなみにパートナーの操作はオートに設定もできる。無理に二画面を操作しなくても良いのは、押しつけがましくなくて良い。
映画を見終わったような気持ちになるエンディング
ネクを中心に、渋谷での7日間を描いたストーリーだが、パートナーのシキ、ヨシュア、ビイトとそれぞれ7日間を過ごすことになるため、ボリュームがかなり多い。
そして、それだけの長い時間を過ごすのだから、パートナーを含めキャラクターへの愛着が湧いてくる。
そんな中で迎えるエンディング。
JYONGRIさんの『Lullaby For You』が流れてくる。
それまでのストーリーで感じてきたことを踏まえたうえで耳にするエンディング曲のやさしいイントロ。まるで映画を見終わったような気持ちにさせられる。
中学生当時、これほどゲームのエンディングで余韻に浸ったのは、初めてだったかもしれないし、あのときの気持ちだけは今でも色濃く残っている。
オリジナル版にしかない魅力
ニンテンドーDSで発売された『すばらしきこのせかい』だが、その後スマホ向けに『すばらしきこのせかい Solo Remix』や、Nintendo Switch向けに『すばらしきこのせかい Final Remix』が発売されている。
それぞれ、新たなシナリオなどが追加されおり、こちらを遊ぶのも良いと思う。
しかし、これらはエンディング曲が変わっていおり、当然ながら二画面の戦闘は体験できない。
ニンテンドーDS版にしかない魅力があるのだ。
すでに『すばらしきこのせかい Final Remix』などをクリアしている人も、ニンテンドーDSに立ち戻って、もう一度プレイしてもらいたいと思う。