寒い日の悩み
寒い日が続くと、私は頭を悩ませる。
手が霜焼けになってしまうのだ。
私は昔から冷え性で、一年を通して手は冷えている。
寒い冬は、なおさら冷えが加速する。
霜焼けは皮膚の表面温度が下がることで起きるらしい。
ところが、私の手はそもそも冷え切っているから、さほど気温が低くなくても、すぐに霜焼けになってしまうのだ。
少し油断すると、知らぬ間に指は腫れあがり、満足に手を握ることもできなくなる。
効果の見えない冷え性の解消方法
冷え性を解消する方法は、たくさんある。
血流を促進するためのマッサージ。
生姜など身体を温める食品。
いくつか試してきたが、どれも効果はみられない。
仕事柄パソコン作業が多いが、冷えで徐々に指が動かしにくくなって、タイピングにも影響が出てきてしまう。
だからといって、手袋をつければ、さらにタイピングに影響が出てしまう。
手の冷えに関しては半ば諦めていて、なんとかうまく付き合っていくしかないと思っている。
ただやはり、辛いものがある。
化学の授業で感じた世の中の不条理
高校生のころ、化学の授業で悲しい思いをしたことがある。
その日、化学の授業は実験だった。
薬品を混ぜ合わせて、どのような反応が出るのかを観察する実験だ。
様々な実験器具を使うのだが、その中の一つに「ホールピペット」という実験器具があった。
ホールピペットは、ガラス製のストローのような実験器具で、中央あたりが膨らんでいる。
その膨らみが「ホールピペット」の名前の由来だそうだ。
このホールピペットで、薬品をストローの要領で吸い上げる。
こうして薬品を、容器からビーカーや試験管などに移し取るのだ。
これだけなら、普通のピペットでもできること。しかし、このホールピペットにはある特徴がある。薬品の量を正確に計り取れるのだ。
ホールピペットは先端が細くなっているため、薬品が先端に少し残ってしまう。
つまり、残った薬品の分、量が不正確になるということだ。
ところが、ホールピペットの上部を指で塞ぎ、真ん中の膨らんだ部分を握ると、ホールピペット内部の空気が温められて膨張し、先端の薬品を全て排出できるようになっているのだ。
こうすることで、正確な実験結果が得られる、なんとも良く考えられた器具なのである。
しかし、私はホールピペットを使うことができなかった。
私がホールピペットを握っても、中の薬品は微動だにしなかった。
そう、手が冷たすぎて、ホールピペット内部の空気が温まらなかったのだ。
無新でホールピペットを握り続ける私。
ただただ先端にとどまり続ける薬品。
そんな様子を見ていた友人が、気を利かせて代わってくれた。
薬品は一瞬にして全て押し出されていった。
世の中は不条理だな。
化学の授業で、世の中の厳しさを知ることになるとは思ってもみなかった。