登下校はゲーム情報のやりとりの時間
ゲームをたくさん遊んでいると、感動する場面に出会うことは多々ある。
ストーリーに感動することもあったし、音楽のすばらしさに感動することもあった。
難しくてなかなか進めなかったところを、なんとか突破したときの感動もある。
感動した思い出は数あれど、中でも最も感動が強かったのは『ポケットモンスター金・銀』だ。
『ポケモン金・銀』が発売された当時、私は小学2年生。
周りの友だちの間でもポケモンは流行していて、男女関係なく『ポケモン金・銀』をプレイしていた。
今でこそネットを使えば攻略情報など、ゲームの情報は簡単に手に入るけれど、当時はそんなことはできなかった。
だから、登下校の時間には、ゲームの情報のやりとりが繰り広げられていた。
「ジムバッチは16個ある」
やりとりされる情報は、全部が全部、信用できるものではなかった。
幻のポケモンを出す方法とか、ポケモンをコピーする方法とか、どこで仕入れたのかわからないような情報が飛び交っていた。
そんな噓か真かわからない情報の中で、私をひきつけたものがあった。
「ジムバッチは16個ある」
ポケモンをプレイしたことがある人はご存知だろうが、各地にいるジムリーダーを倒して8つのジムバッチを手に入れ、四天王に挑戦するのが、ポケモンのゲームの目的の一つとなっている。
ポケモン一作目の『ポケモン赤・緑』もそうだったし、『ポケモン金・銀』でも、それは変わらなかった。
それなのに、ある友だちは、ジムバッチは16個あると言い始めたのだ。
私はにわかには信じられなかった。
その友だちを疑うつもりはなかったが、すぐに信じられるものでもなかった。
それからというもの、期待半分、不安半分でゲームを進めることになった。
当たり前を良い意味で裏切られた感動
学校が終わり、就寝までの少しの時間を使って、コツコツと進めていき、ついにそのときが訪れた。
『ポケモン金・銀』では、ジョウト地方という場所を冒険し、ジムバッチを集めていく。そして、四天王を倒し殿堂入りすれば、冒険は一区切りとなる。
やっと、そこまで行ったのだ。
どうしても欲しかったエーフィが、なかなか手に入らず、試行錯誤するという横道に逸れたこともあったが、なんとか本来のゲームの目的は達成できた。
さてここで、一区切りを迎えた私を驚かせることが起きる。
次はカントー地方に行くというのだ。
前作の舞台を再び冒険できるという感動。
そして、当然カントー地方にも、各地にジムがある。
つまり、ここでもジムバッチを集めていくことになるわけだ。
そう、友だちが言っていたことは本当だったのだ。
「ジムバッチを8個集める」ことが当たり前だと思っていた中、実は「16個のジムバッチを集める」ことができると知ったときの感動。
今思い出しても、ワクワクする。