生活の工夫が詰まった一冊
松浦弥太郎さんのエッセイ『いつもの毎日。 衣食住と仕事』。
読んでいて心地よい一冊だった。
そこから松浦さんの作品で、自分に合いそうなものを探すようになった。
そんなとき見つけたのが『あたらしい あたりまえ。』である。
自分の暮らしにも取り入れられそうな工夫が詰まっていて、読みながら、もし自分の生活に取り入れるなら、どんな感じになるだろうと妄想を膨らませていた。
妄想するだけでも楽しいのだけれど、私にとっては無気力な日常の救いの手となってくれるような存在だった。
環境を整えようと前向きにさせてくれる
なにに対してもやる気が起きない、無気力な日常を送るようになってしまっていた時期がある。その原因の一端は、考えることのない生活が原因だったように思う。
考えることをしなくても、毎日決められたことをやっていれば一日は過ぎていく。
そんな生活を送っているうちに、なんだかすべてがどうでもいいような、そんな気持ちになっていった。
気づけば生活環境も崩れ始めていた。
掃除もおっくうになり、いたるところが汚れ放題になってしまう。そうなるとさらに掃除が面倒になり、汚れ具合がとどまることはなくなった。
そんなとき、ふと目に入った『あたらしい あたりまえ。』。
ページを繰るとそこには、荒んだ心を明るくするような文章が綴られていた。
そして自分の生活環境を見渡してみて、改めて環境の荒れ具合が目についた。
けれどもそれが気分の落ち込みにつながるでもなく、むしろ整えようという前向きな気分にさせられた。
きっと読み心地のよい文章のおかげだったのだと思う。
心の栄養のような
今、あまり外に出ることなく、家で過ごす人も多くなったのではないだろうか。
外に出ないと、どうしても毎日が同じことの繰り返しになってしまいがちだ。
外に出ることはあっても、たとえば仕事のためとか、買い物のためとか、日常生活の中の決められた行動によるものだとすれば、それは家にこもっているのとたいして変わらない。
とはいっても、大手を振って外を出歩くわけにもいかない。
『あたらしい あたりまえ。』に書かれていることのほとんどは、自宅でもできることなのだ。
読んで、自分の生活にどのようにしたら取り入れられるかを考えて、手軽に生活に変化を与えられる。もちろん読んで考えるだけでも、少し楽しい気分になり、生活を、身の回りを整えようと思えることだろう。
生活に疲れたときの、心の栄養のような本だと感じた。